例えば、恋:最果ての卵 // upas cironnup -ゆききつね-

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ゆききつねいのち最果ての卵 > 3. 恋

例えば、恋

これから始まるは、たとえばのお話。





恋する少女がいます。
自分よりも大切な彼のために、今日も尽くします。
でも、辛いと思ったことはありません。
だって、恋しているから。

彼は、こう言います。
「うまい飯が食いたい」
しかし少女は料理ができません。
高級料理店で満腹になった後、伝票を残して逃げ帰りました。

彼は、こう言います。
「かっこいい車が欲しい」
しかし少女にはお金がありません。
近くに停めてある高級車を拝借して、彼に捧げました。

彼は、こう言います。
「快楽が欲しい」
しかし少女は何も知りません。
ただ自分の身をそっと委ね、彼に任せました。

彼は、こう言います。
「あいつがむかつく」
しかし少女は二人を仲良くさせることはできません。
昨日リンゴの皮を剥いたナイフで、「あいつ」の皮膚を剥きました。

彼は、こう言います。
「むしゃくしゃする、人を殺したいくらいに」
しかし少女は彼をなだめることはできません。
長い髪をかきあげ、首を露にしました

彼の手が少女の首に巻きつきます。
細い首は、太い指に締め上げられます。
少女の顔には、恐怖と恍惚の表情が見えます。
やがて、その表情のまま崩れ落ちます。

恋する少女がいました。
自分よりも大切な彼のために、今日も尽くしました。
でも、辛いと思ったことはありませんでした。
だって、今でも恋しているから。





――――たとえばのお話、おしまい。