例えば、救い:最果ての卵 // upas cironnup -ゆききつね-

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ゆききつねいのち最果ての卵 > 5. 救い

例えば、救い

これから始まるは、たとえばのお話。





黒の闇。
荒れ果てた地面。
静寂。
そんな中に、その双子はいました。

孤独。
二人はお互いを抱き合います。
それが唯一の癒し。
荒野の中、二人は静かに眠ります。


一筋の光が登場します。
細い光。
二人を包むには少し弱い光。
だから、一人だけ包まれます。

大きな分岐点。
二人は、別の人生を歩み始めます。
一人は光の道。
もう一人は闇の路。


光は暖かい。
いろいろなものが満ち溢れています。
何もかもを包み込みます。
幸せとは、こういうものなのでしょう。

闇は冷たい。
孤独、何もありません。
手を伸ばしても、空を切るだけ。
不幸とは、こういうものなのでしょう。


二本の人生は正反対。
だから、再び交わります。
光と闇の再開。
そこも、やはり荒野です。

天が裂けます。
地が吼えます。
風が叫びます。
二人は思います。

光の道の私。
望まなくても満たされる道。
誰もが幸せと思える道。
今も大丈夫。

闇の路の私。
望んでも満たされない路。
誰もが不幸と思える路。
――――助けて。

稲妻が走ります。
それは、一人を貫き通します。
無残な死。
もう一人は無事でした。


やがて巣立ちの時が訪れます。
もう一人の自分のことを思います。
そして翼を広げ。
新しい世界へと旅立ちました。

どうして。
大丈夫のはずだったのに。
――――。
巣立ち出来なかった光の最期。

どうして。
今まで助けてくれなかったのに。
――――。
巣立ち出来た闇の最期。





――――たとえばのお話、おしまい。