例えば、鳥かご:最果ての卵 // upas cironnup -ゆききつね-

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ゆききつねいのち最果ての卵 > 12. 鳥かご

例えば、鳥かご

これから始まるは、たとえばのお話。





ある場所に、ひとつの鳥かごがあります。
ある時に、鳥かごの中に一羽の鳥が生まれました。

その鳥の世界は、鳥かごの中だけでした。
何の疑問も抱くことなく、毎日を過ごしていました。

ある日、地震が起きて鳥かごが壊れてしまいました。
自分の知らない世界が外にあったことに、鳥はとても驚きました。

力の限り、羽ばたきました。
世界は、なんて広いのだろう!

鳥は、命の限り、世界を旅しました。
そして、世界の果てで生涯を終えました。


・・・もう一つの視点。


鳥かごを買いました。
ペットショップで一羽の生まれたばかりの鳥を買いました。

かごの中で、すくすくと鳥は育っていきます。
その様に、さまざまな感動を覚えました。

ある日、地震が起きて鳥かごが壊れてしまいました。
鳥は、かごから抜け出し飛び立ちました。

壊れた鳥かごの周りを飛び回っています。
きっと外に出たいのだろう、と思いました。

窓を開けても、かごの周りを飛ぶ鳥。
きっとここが気に入って外には出たくないのだろう、と思いました。

やがて鳥は歳をとり、かごのすぐ近くで果てました。
かごの一部と一緒に庭に埋めて、お墓を作りました。





――――たとえばのお話、おしまい。