例えば、宣告:最果ての卵 // upas cironnup -ゆききつね-

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ゆききつねいのち最果ての卵 > 26. 宣告

例えば、宣告

これから始まるは、たとえばのお話。





少年は、死の宣告を受けました。
明日の太陽は見ることはできない、と。

昼食は、大好物のものを食べました。
決して高価なものではないけれど、とてもとても大好きなものです。

草むらに寝そべってみました。
空も、雲も、鳥も、いつもどおりでした。

近くの川に、釣り糸を垂らしました。
時間が止まったかのような錯覚を覚えました。

少し高いところに上りました。
溶けそうな赤い夕日が、地平線で輝いていました。

夕飯は、軽く済ましました。
なんとなく、そんな気分だったから。

ふと見上げると、たくさんの星が見えました。
流れ星は見えないかな?

なんだか眠たくなってきました。
今日は、少し早めに寝よう。


少年は夢を見ました。
鳥になって、大空を自由に飛ぶ夢です。





――――たとえばのお話、おしまい。