昔々は、あるところ。 丘の上に、大きな屋敷が建っていました。 プリズムリバー。 このあたりでは、とても名の知れた貴族です。 そこには、レイラという女の子がいました。 4人姉妹の末っ子であるレイラには、 ちょっとした能力がありました。 食べるものも着るものも、何不自由ない暮らしでした。 家族はいつも暖かい空気に包まれ、 それを見ているだけで、優しい気持ちになれました。 近所の評判もよく、 これより幸せな生活は誰も想像することができませんでした。 ―――それが壊れたのは、一瞬のこと。 それはしとしと雨降る 暗くて冷たい夜のこと 帰りを急いで駆け抜けた馬車は 深い谷の底に吸い込まれた ずっと待ってた姉妹に 両親の訃報が届いた 雨にも負けないたくさんの涙が流れ落ちた 渇き果てるまで 両親を失い、たった4人になってしまった姉妹たち。 その生活は、とても辛く、そしてとても寂しいものでした。 料理や掃除、洗濯は4人で頑張ってやりました。 でも、なかなかうまくいきません。 ―――やがて、別れの時が訪れます。 長女のルナサが引き取られました。 子供に恵まれなかった家庭です。 次女のメルランが引き取られました。 遠い親戚の家です。 三女のリリカが引き取られました。 隣町の孤児院です。 末女のレイラは……屋敷に残りました。 一人静かに佇む 大きな屋敷には静寂 レイラは木箱に手をそっとかざし 能力使い音楽を創りだす 「………本当に、いいのかい?」 「はい。私はここに残ります。ずっと、ずーっと」 「遠慮することはないよ。 うちに来れば贅沢な暮らしができる」 「………いいえ。ここで姉たちの帰りを待つと…… 決めましたから!」 いつか昔のような 日常が戻る時のため レイラは素敵な旋律を奏でる "姉たちへと 届きますように" かつて、そこにはプリズムリバー家の屋敷がありました。 今は、何もありません。 ひとりでに鳴る木箱と、姉たちへの想いを除いては。 ひとりぼっちの私は 凍てつく時間の中で 楽しかった日々を 見るため 夢の能力で あの頃の姉たちを想い描くの その名は 幽霊楽団 そしてみんなの暖かい 時間が戻ってきたの さあ 楽しい演奏と 料理で祝おうよ 今日もみんなで演奏会 楽しい大合奏ね この素敵な毎日が 続くのいつまでも 私は知ってるの みんなは幻想だ 帰ってこない 永遠に 夢でもいいの みんなで暮らせれば 家の中は 寒くても ひとりぼっちの私は 家族と一緒に 静かに世界から いなくなるの
さーくや さーくや さーくや さーくや 「ねー、さくやー。お腹すいたー」 「はいはい、今すぐお持ちしますよ」 「『はい』は一度でいいの」 「はいはい」 くるくるる~ くるくるる~ くるくるる~ くるくるる~ 竹の花を捜し求めて ひらひらり 裏庭の奥の竹林の中を ひらひらひらり 60年に一度を求めて 時計の針をくるくる つぼみが出て膨らんでらんらんらん きれいな花が咲いたよ あまいあまぁ~いクリームを ちょんちょんちょん 真っ紅ないちご乗せよう 竹の花を刻んでぱらぱらら おいしいケーキ完成 くるくるる~ くるくるる~ くるくるる~ くるくるる~ 「お待たせいたしました、竹の花ケーキです」 「わーい、大好物ね(もぐもぐ」 「……いかがですか?」 「うん、おいしかった。ごちそーさまー」 「おそまつさまでした」 さーくや さーくや さーくや さーくや 「ねー、のどかわいたー」 「はいはい、トマトジュースでいいですか?」 「んーと、原始のスープが飲みたいな」 「…………はい?」 「パチェが言うにはね……、 『世界の始まりにあった、すべてが溶けてまざった海』 ……だーって」 「はぁ……まあ、探してみます」 くるくるる~ くるくるる~ くるくるる~ くるくるる~ 生命の起源は何処にある? ゆらゆらり 湖の底もっと深い深い向こう ゆらゆらゆらり 世界が始まる海を求めて 時計の針をくるくる 祖先が息をしてるよぽんぽんぽん 不思議な水ができ…… …………てない。もう一度! くるくるる~ くるくるる~ くるくるる~ くるくるる~ 幻想の起源は何処にある? ゆらゆらり 海底の奥もっと深い深い向こう ゆらゆらゆらり 世界が始まる海を求めて 時計の針をくるくる 祖先が息をしてるよぽんぽんぽん 不思議な水ができ…… …………てない。まだまだっ! くるくるる~ くるくるる~ くるくるる~ くるくるる~ 運命の起源は何処にある? ゆらゆらり 深淵の淵もっと深い深い向こう ゆらゆらゆらり 世界が始まる海を求めて 時計の針をくるくる 祖先が息をしてるよぽんぽんぽん 不思議な水が…… …………できたよ♪ くるくるる~ くるくるる~ くるくるる~ くるくるる~ 「おまたせしました、原始のスープです」 「わーい。…………ぶ~~」 「わっ、きたない……」 「ぅー、しょっぱ~~い」 「そりゃ、海水ですから。 まあ、その」