ぼくは大きな家に住んでいる。 とても、とても、大きな家だ。 いつものように、広くて暗い家の隅で、一人丸くなる。 ぼく以外、ここには何も無い。 ぱちっ。 暖炉の火が静かに燃えている。 いつものように、その前で、一人食事を取る。 静かだった。 炎のはじける音が、唯一ぼくの耳に入ってくる。 ぱちっ。 闇。闇。暗い闇。 何も無い空間。 何かが足りない、そんな気がする。 冷たい空気がまわりに漂っている ざわざわっ。 獣たちの声が聞こえる。 いつものように、この森の中で、一人狩りをする。 今日は、全然だめだった。 しかし、ぼくの腰には一匹の獲物がぶら下がっている。 どきどきっ。 静寂を声が打ち消す。 彼は微笑んだ。 そして、ぼくに獲物を差し出す。 暗い闇の中で、木ぎれをみつけた。 わいわいっ。 村人たちが賑わいでいる。 いつものように、祭りの中で、一人ぼーっとする。 村人が話し掛けてくる。 何気ない会話。 わいわいっ。 今まで、他の人と会話したことが無かった。 だから、気持ちをうまく言葉に出来なかった。 ・・・・・・・・・・・・・でも。 木ぎれに灯りをともした。 らんらんっ。 祭りが最高潮に達している。 いつもの違って、輪の中で、みんなと踊っている。 見よう見まねで。 村の北から、村の南まで、必死で踊っていた。 6つの夜、6つの昼の間、楽しく踊っていた。 らんらんらんっ♪ それは、小さな勇気。 それは、大きな喜び。 「・・・・・・・・・・・あの、一緒に踊っても良いですか?」 木ぎれが世界を照らし出す! ここにいる人たちへ。 他の人との絆も、結構いいものだよ。 ぼくが保障するよ! 困ったとき、必ず君の手助けをしてくれるよ。 嬉しいとき、必ず君の周りにみんながいるよ。