小鳥が鳴いてる。 上を見上げれば、真っ青。 今日はいい天気。 小さな雲が、ひとつ。 鏡を見てみる。 いつもの違う自分が映る。 無理しておしゃれをしてみたけど。 なんか変な感じ。 馬車に乗って、何処か遠くへ行こう。 何処に着くかは分からないけど。 この道が終わる場所まで。 見たことの無い場所まで。 豪華なご飯を食べよう。 普段なら絶対に食べない、高級料理。 なんだか落ち着かない味。 おいしいのか、おいしくないのか。 草原で寝そべってみよう。 絵でしか見たことの無い大草原。 一度、寝そべってみたかったんだ。 背中に草が刺さるけど、ほわほわいい感じ。 お酒を飲んでみよう。 変な味。 身体が熱くなっていく。 これが大人の味なのかな。 日が沈む。 空が赤から青に。 今日の終わり。 そして。 ・・・・・・・・私の終わり。 何処だか分からないけど。 とにかく高いところ。 そこに私は立っている。 一歩踏み出せば、「自由落下」が楽しめるらしい。 今日のメインイベント。 私は鳥になる。 羽ばたく翼が無いから、落ちるだけの鳥。 腕を振って少し抵抗してみるつもり。 ・・・・・・・・・・・。 足がいうことをきかない。 「一歩踏み出せ」 そんな簡単な命令なのに。 どうしてだろう? そっか、歩きっぱなしで疲れているんだ。 少し座って休憩しよう。 沢山の星が輝いている。 あの光は、ずっとずっと遠くから放たれているらしい。 私の知らない場所から。 気が遠くなるくらいの時間をかけて。 私の目の中にやってくる。 どうして、そこまで頑張れるんだろう。 私は、もう駄目だというのに。 そろそろ行こう。 立ち上がり、一歩を踏み出す。 と、命令しているのに。 足は全然動かなくて。 座りっぱなし。 しかたがない、転がっていこう。 ごろごろごろ。 あと1回転くらいで、鳥になれそう。 ごろごろごろ。 あと半回転。 ごろごろ・・・・。 また動かなくなった。 もう疲れたのかな? 少し、このまま休憩しよう。 ・・・・・・・・・んー。 まわりが騒がしい。 目を開ければ、青白い世界。 小鳥たちの合唱。 これは。 「朝」だ。 私は、まだ「この世界」にいる。 んー、何て言ったらいいのかな。 死のうって思うのは簡単だけど。 実行するのは大変みたい。 今のところ、私はまだ生きている。