「蓬莱伝説」 遠い、遠い昔のこと。 月からやってきた悪魔は、地上の人間に蓬莱の薬を授けました。 不老不死。永遠の命。それは、人間たちが長い間見てきた夢。 しかし、人間たちは薬を火口に捨ててしまいましたとさ。 もったいないなぁ。 私なら、絶対に使うのに。 んー、やっぱり20年分くらいだけ使おうかな。 そして、残りは捨てよう。 ……そうした、はずだったのに。 ―――――――――――――リザレクション! 「二色蓮花蝶」 紅。 散っていく葉が、空と地面を染める。 白。 夏の厳しい日差しは、少しずつ緩んできた。 この季節の散歩は楽しい。 葉っぱを踏むときの、音と感触。 さくさく、ふわふわ。 なんだか昼寝をしたくなっちゃった。 落ち葉に埋まれば、死んだ気分になれるかな? ―――――――――――――リザレクション! 「桜花之恋塚」 人は、死ぬと桜の下に眠る。 あの世でも、見事な桜が見れますように。 この世の桜が、もっと綺麗に咲きますように。 そんな願いを込めて。 最近、この桜の花びらが薄くなっている気がする。 下で寝てる人が、この桜に飽きたのだろうか。 それで、夜中にこっそり起きて逃げ出したのかな。 地面の中じゃ、暇だろうし。 ほら、ここ。人が入ってたような、大きな穴が空いてる。 ―――――――――――――リザレクション! 「明治十七年の上海アリス」 時間の流れ。 それは、毒のようなものだ。 生あるものは皆、やがて死んでいく。 逃げることは、できない。 私は蓬莱の国にいる。 今日はワルツを踊ろう。 普段は着ない綺麗な服を身につけて。 くるくるとまわり続ける。 ここでは、時間なんて流れはしない。 ―――――――――――――リザレクション! 「東方怪奇談」 妖怪だって? あはははは、いるわけないじゃん。 ただの作り話だよ。 子供達を脅かすためのね。 まったくもう。 どうせ、私が人間じゃないって分かったら怯えるくせに。 余計な好奇心は、身を滅ぼすっていうよ。 人間は、あんまり食べたくないし。 あーあ、また逃げられちゃった。 ―――――――――――――リザレクション! 「エニグマティックドール」 少しいびつで、少しかわいらしい人形。 とてもとても綺麗な目をした人形。 捨てても捨てても、私のところに戻ってくる人形。 そんな人形。 また、カラスに目を盗まれてしまったらしい。 まったく、困ったものだ。 しょうがない、私の目をあげよう。 今度こそ盗られないようにしてね。 自分の目を取り出すの、結構痛いんだから。 ―――――――――――――リザレクション! 「サーカスレヴァリエ」 たいへんお待たせしました。 当座最大の目玉。 世にも珍しい生き物。 『殺しても死なない人間』の登場だよ! ほら、心臓を潰しても全然平気。 内臓を取り出しても、ちょっと痛いだけだ。 おっ、きれいな肝だね。 なかなか健康的じゃないか。 食べてしまいたいくらい。 ―――――――――――――リザレクション! 「人形の森」 人間が森の奥に迷い込んできた。 外は大雨。止む気配はない。 天気が良くなるまで、泊めてあげよう。 退屈なら、私が話し相手になってあげるから。 そんなに怖がらないでいいから。 わっ、私の首が飛んだよ。 痛いじゃないか、まったく何をするんだ。 服が血まみれになっちゃったよ。 …………あ、首だけで話したのはまずかったか。 ―――――――――――――リザレクション! 「Witch of Love Potion」 くっくっく。 君が探しているのは。こいつ、だろ? なかなか苦労したけど、ようやく入荷したよ。 どんな娘もいちころ、究極の惚れ薬さ。 とても貴重なものだよ。 ちょっと見た目は悪いけどね。 少し値は張るけど、どうだい? 今買わないと、他の誰かに取られちゃうよ。 蓬莱人の心臓(ハート)、永遠の想いの象徴さ。 ―――――――――――――リザレクション! 「リーインカネーション」 この小さな村に、もう何年住んでいるだろう。 そろそろ、みんなが噂し始めてるかな。 私が老いていかないことに。 表に出ることを控えないといけないかも。 え、お母さんは元気かって? お母さんの小さいころによく似てるって? …………ああ、そういうことね。 そんなに時間が経っていたのか。 はい、元気ですよ。瓜二つって、よく言われます。 ―――――――――――――リザレクション! 「U.N.オーエンは彼女なのか?」 絶世の美女であり、稀代のトリックスター、U.N.オーエン。 数多の怪事件の裏側には、必ずと言っていいほど彼女の影が見え隠れしていた。 そんな彼女の最期は、とても凄惨で異様なものだった。 体の一部を欠落した8人の少年少女の中央で。バラバラになっていた。 あいつの腕と引き換えに、僕の腕を破壊された。 目で目を、耳で耳を、足で足を、喉で喉を、胴で胴を、頭で頭を、心臓で心臓を。 それでも………あいつは生きていたんだ! 歪な笑顔だった!! かろうじて生き残った者達はそう残し、やがて全員発狂した。 この事件を語る人間は、誰もいなくなった。 ―――――――――――――リザレクション! 「永遠の巫女」 神様の生まれ変わりだ! 燃え尽きた灰の中から、蘇られたぞ!! 生き神様!!! おお、ありがたや、ありがたや。 織り成す言葉は、神の言葉。 あまねく行為は、神の行動。 それはそれで楽しいんだけど。 逃げた。 永遠に神に仕えるなんて、とんでもない。 ―――――――――――――リザレクション! 「空飛ぶ巫女の不思議な毎日」 草木も眠る丑三つ時。 今日はあいつの刺客が来た。 人間と妖怪。 変な組み合わせだ。 この人間と妖怪は物好きだな。 輝夜は飽きないな。 そして。 私も飽きないな。 生きているって、なんて素晴らしいことか。 ―――――――――――――リザレクション! 「蓬莱人の見る夢」 …………ふわーっ。 なんか、変な夢見ちゃったな。 せっかく気持ちよく寝てたのに。 変な気分だ。 ひらひら、ひらひら。 紅い葉が降ってくる。 散りゆく姿は美しい。 じゃあ、散ることのできないものは、穢らわしいのかな? …………そうだ、慧音のところに行こう。 「人間と妖怪のハザマ」 人間だって、妖怪だって。 いつかは死ぬものだ。 幻想郷だって、いずれは死ぬだろう。 それでも、お前は生き続けるんだろうか。 そんなはずはない。 死ぬことはできるはずだ。 必ず、私がその方法を見つけ出してやる。 永遠の苦しみを、無かったことにしてやろう。 お前が、長すぎる生に発狂してしまう前に。