例えば、石化獣2:最果ての卵 // upas cironnup -ゆききつね-

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ゆききつねいのち最果ての卵 > 11. 石化獣2

例えば、石化獣2

これから始まるは、たとえばのお話。





ここに、一匹の獣がいます。
四本の足。
ごつごつした皮膚。
そして、鋭い眼。
全てを石に変えてしまう視線。

獣の頭の上を鳥が飛んでいます。
飛ぶ角度を変えたとたん、それは鳥では無くなってしまいました。
冷たい鳥の彫刻になってしまいました。
視線を合わせただけで、こうなってしまうのです。
獣は、こんな力は要らないと思っています。

たまには誰かとゆっくり恋がしたいと思う獣。
今まで一度も叶ったことがない願い。
獣が通った道には、石の彫刻が並んでいます。
つまりは。
そういうことです。



獣の前に猟師の一団が現れます。
彼らは石の能力から身を守るために、機械で獣を見ます。
……悪く思うな。
短い発砲音。
息絶えました。

獣の涙は、永遠の美を与えると言われています。
獣の歯は、魔術的価値が高いと言われています。
獣の肉は、とても美味だと言われています。
獣は思います。
死にたくない。

獣は、ゆっくりと歩いていきます。
背後には猟師たちの死骸。
獣の爪は、鉄をも引き裂くと言われています。
つまりは。
そういうことです。





――――たとえばのお話、おしまい。