これから始まるは、たとえばのお話。 少女は全てに嫌気がさします。 世界に存在するもの全て。 やがて少女は目を覚まします。 その時から、消えることの無いある決意を秘めました。 大量の薬の瓶が並んでいます。 中身は全て胃の中です。 やがて少女は目を覚まします。 その時から、幻覚を見ることができるようになりました。 小さな部屋を密閉しました。 焼肉をするわけでもなく、火をたくさん焚きました。 やがて少女は目を覚まします。 その時から、大切な思い出を思い出せなくなりました。 手首に紅い筋が入ります。 心臓が揺れるのに呼応するかのように、雫がこぼれてきます。 やがて少女は目を覚まします。 その時から、手首から先をうまく動かすことが出来なくなりました。 翼の無い鳥になりました。 地面が近づき、大きな音と共に抱擁しました。 やがて少女は目を覚まします。 その時から、内臓はまともに機能しなくなりました。 ぶら下がりました。 ロープ一本で、首を使って揺れていました。 やがて少女は目を覚まします。 その時から、首に空いた穴から息をするようになりました。 砕けました。 急ブレーキの激しい音も空しく、肉片が飛びました。 やがて少女は目を覚まします。 その時から、足が無くなりました。 炎が大きな音を立てています。 燃え盛る衣を着て、舞い踊りました。 やがて少女は目を覚まします。 その時から、怪物のような容姿になりました。 ベッドに縛り付けられました。 何も動かすことが出来ません。 やがて少女は目を覚まします。 まだ、生きています。 ――――たとえばのお話、おしまい。