例えば、失敗:最果ての卵 // upas cironnup -ゆききつね-

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ゆききつねいのち最果ての卵 > 13. 失敗

例えば、失敗

これから始まるは、たとえばのお話。





少女は全てに嫌気がさします。
世界に存在するもの全て。
やがて少女は目を覚まします。
その時から、消えることの無いある決意を秘めました。

大量の薬の瓶が並んでいます。
中身は全て胃の中です。
やがて少女は目を覚まします。
その時から、幻覚を見ることができるようになりました。

小さな部屋を密閉しました。
焼肉をするわけでもなく、火をたくさん焚きました。
やがて少女は目を覚まします。
その時から、大切な思い出を思い出せなくなりました。

手首に紅い筋が入ります。
心臓が揺れるのに呼応するかのように、雫がこぼれてきます。
やがて少女は目を覚まします。
その時から、手首から先をうまく動かすことが出来なくなりました。

翼の無い鳥になりました。
地面が近づき、大きな音と共に抱擁しました。
やがて少女は目を覚まします。
その時から、内臓はまともに機能しなくなりました。

ぶら下がりました。
ロープ一本で、首を使って揺れていました。
やがて少女は目を覚まします。
その時から、首に空いた穴から息をするようになりました。

砕けました。
急ブレーキの激しい音も空しく、肉片が飛びました。
やがて少女は目を覚まします。
その時から、足が無くなりました。

炎が大きな音を立てています。
燃え盛る衣を着て、舞い踊りました。
やがて少女は目を覚まします。
その時から、怪物のような容姿になりました。

ベッドに縛り付けられました。
何も動かすことが出来ません。
やがて少女は目を覚まします。
まだ、生きています。





――――たとえばのお話、おしまい。