例えば、明日:最果ての卵 // upas cironnup -ゆききつね-

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ゆききつねいのち最果ての卵 > 14. 明日

例えば、明日

これから始まるは、たとえばのお話。





不治の病と診察されました。
もう俺は終わりだ。
青年は絶望しました。

少しずつ体を蝕む病。
来年の桜は見れないようです。
少しずつ心が蝕まれていきます。

夏がやってきました。
青い空と海。
病のことを少しだけ忘れることが出来ました。

秋がやってきました。
読書に食事に運動に。
病のことを忘れることが出来ました。

冬がやってきました。
こたつに入ってみかんを食べてテレビを見る毎日。
来年の紅白は誰が出るか予想して楽しみました。

春がやってきました。
桜色で道は染まっていました。
何か大切なことを忘れている気がしました。

夏がやってきました。
どうしても思い出せない何か。
大したことではないと思い、真夏の海を楽しみました。





――――たとえばのお話、おしまい。