これから始まるは、たとえばのお話。 少女が生まれました。 男と女が愛し合った結果です。 男と女に溝が出来ました。 そして、それ以降二人は出会うことがなくなりました。 少女は父親を知りません。 知らないので、悲しくもなんともありません。 女に2人目の男が近づいてきました。 女は2人目の男に惚れました。 少女は義父を手に入れました。 その意味は、よく分からないままに。 少女は名前を変えられました。 ただ、煩わしいと感じただけでした。 2人目の男は、2人目の女に近づきました。 そのあたりのことは、少女は詳しく知ることは出来ませんでした。 1人目の女と2人目の女は、争いを始めました。 やはり、少女には詳しく分かりませんでした。 2人目の男は、1人目の女を捨てました。 その影響は、少女にも少しずつ出始めてきました。 少女は、再び名前を変えられました。 ただ、煩わしいと感じただけでした。 少女は自分自身に名前を付けていたので、あまり不自由はありませんでした。 自分の生き方を文字にしたものです。 1人目の女と2人目の男は、毎日戦っていました。 少女は、嫌だなぁと思います。 1人目の女は、捨てられたにも関わらず、2人目の男と共に居ました。 少女にはよく分からなかったが、色々と事情があるようです。 1人目の女と2人目の男の争いは激化していく一方です。 少女は目と耳を閉じ、嵐が去るのをじっと待っていました。 そんな生活は、少女の精神に影響を与え始めます。 じわじわと蝕まれていきます。 やがて1人目の女は、少女に手を出し始めます。 やはり、ただじっと嵐が収まるのを我慢していました。 なぶり殺されるくらいなら自ら命を絶とうと、少女は考え始めます。 様々な書物を漁り、最適な方法を調べました。 最後に遺書と呼ばれるものを書き残しました。 死を選んだ理由を、小さな物語にしたものです。 その後、少女の行方は分かりません。 先のことは、綴られていないからです。 ――――たとえばのお話、おしまい。