例えば、友:最果ての卵 // upas cironnup -ゆききつね-

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ゆききつねいのち最果ての卵 > 17. 友

例えば、友

これから始まるは、たとえばのお話。





たくさんの猫がいます。
なぜなら、人間が食べ物を分けてくれるからです。

ここに、二匹の猫がいます。
黒猫と三毛猫。とても仲の良い二匹です。

三毛猫は、他の猫たちと同じように人間から食べ物を貰っています。
黒猫は人間が信用できなくて、自力で食べ物を探しています。

今日は、いつも以上に食べ物を貰った三毛猫。
自分の力で飢えを凌ぐために、遠出をした黒猫。

彼らは、その日を境に再会することはありませんでした。


ある人間への視点。

商店街には沢山の野良猫が生息しています。
住民達が野良猫に残飯を与え、やがて住み着いてしまったのです。

その被害は、日に日に大きくなっていきます。
ゴミは荒らされ、糞尿の匂いが充満するようになりました。

そこで商店街から、駆除するように依頼が来ます。
その人間たちは、白衣を纏い、毒入りの餌を持って出かけました。


他の、ある人間への視点。

この付近は、猫が多いという噂があります。
運転をするときは、特に気をつける必要があります。

しかし、どれだけ気をつけても事故は起きてしまいます。
ほら。そこにも見たくないものが散らばっています。

誰かが轢いてしまった黒猫。
人間は、少しだけ悲しい気分になりながら、そこを通り過ぎました。





――――たとえばのお話、おしまい。