例えば、創世:最果ての卵 // upas cironnup -ゆききつね-

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ゆききつねいのち最果ての卵 > 20. 創世

例えば、創世

これから始まるは、たとえばのお話。





真っ白な、一枚の紙があります。

青い雫が落ちました。
それは紙に広がり、海になりました。

一本の真っ直ぐな糸が落ちました。
それは水平線になり、空ができました。

緑の点が浮かび上がりました。
少しずつ大きくなって、森になりました。

いろんな色が生まれていきます。
紙のいたるところに、様々な動物が誕生しました。

大きな丸を書きました。
動物達は、不思議がって近づいてきます。

黒く塗りつぶしました。
何もかもを破壊するバクダンになりました。

スイッチを押しました。
カチ。ドカーン。


真っ白な、一枚の紙に戻りました。




黒い雫が落ちました。
それは紙に広がり、闇になりました。

枠を書きました。
もう、闇は外に出られません。

黒は、漆黒に染まっていきます。
どこまでも続く暗黒へ成長しました。

どこまども、どこまでも続きます。
枠の中という有限の世界に、無限に続く黒い世界。

何かが聞こえたような気がしました。
音なんかない世界に、永遠の曲が流れ始めました。

熱さと寒さを同時に感じました。
どちらでもあり、どちらでもない空気。


この世界を創ったカミサマは、これでいいと思いました。





――――たとえばのお話、おしまい。