これから始まるは、たとえばのお話。 少年は、死の宣告を受けました。 明日の太陽は見ることはできない、と。 昼食は、大好物のものを食べました。 決して高価なものではないけれど、とてもとても大好きなものです。 草むらに寝そべってみました。 空も、雲も、鳥も、いつもどおりでした。 近くの川に、釣り糸を垂らしました。 時間が止まったかのような錯覚を覚えました。 少し高いところに上りました。 溶けそうな赤い夕日が、地平線で輝いていました。 夕飯は、軽く済ましました。 なんとなく、そんな気分だったから。 ふと見上げると、たくさんの星が見えました。 流れ星は見えないかな? なんだか眠たくなってきました。 今日は、少し早めに寝よう。 少年は夢を見ました。 鳥になって、大空を自由に飛ぶ夢です。 ――――たとえばのお話、おしまい。