例えば、職人:最果ての卵 // upas cironnup -ゆききつね-

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ゆききつねいのち最果ての卵 > 30. 職人

例えば、職人

これから始まるは、たとえばのお話。





生きた伝説とまでいわれる、素晴らしい鍛冶屋がいました。
彼の作る刀は、美と機能を兼ね備えた「究極」と称えられています。

旅装束に身を包んだ男が現れます。
噂を聞いた。俺に刀を作ってくれ。

鍛冶屋は全身全霊をかけて、1本の刀を造りました。
神々しく輝く姿は見るものを魅了し、煌めく刃は何者をもってしても止めることはできません。

隣の町で、大量殺人が起こりました。
一人残らず、惨殺されたといいます。

その隣の町でも、大量殺人が起こりました。
遠くへ出かけていた家族だけが生き残りました。

その家族は鍛冶屋に言います。
お前があんなものを造ったから、こんなことになったのだ、と。

鍛冶屋の首は、自分の造った刀によって胴体と切り離されました。
その家族は満足して帰っていきました。





――――たとえばのお話、おしまい。